薬剤部

薬剤部のご案内

医療薬学専門薬剤師研修施設

地域薬学ケア専門薬剤師研修施設(基幹施設)

薬剤部では、医薬品の適正使用を介して個々の患者さまに最適な薬物療法を提供するため、下記のミッションを掲げ、日々業務に取り組んでいます。また、著しく進歩する医療環境とチーム医療の中で、生涯学習・研修による薬剤師自身の資質向上や、専門薬剤師・認定薬剤師の育成にも力を注いでいます。

薬剤部のミッション

  • 医療薬学専門薬剤師研修施設
  • 地域薬学ケア専門薬剤師研修施設(基幹施設)

職員数

  • 薬剤師:12名
  • 薬剤助手:2名

薬剤部の業務紹介

病棟薬剤業務

2020年6月より病棟に専任薬剤師を配置し、持参薬を含む入院中に使用する全てのお薬について薬歴管理(飲み合わせ・重複・アレルギー等々の確認)を行い、患者さまの状態を把握した処方設計や処方提案、医薬品の情報提供を行っています。
また、病棟に配備された薬剤の管理はもちろん、処方された薬剤が間違いなく、そして安心して患者さまにご使用いただけるように、配薬管理や薬剤説明を行っています。

配薬準備業務
配薬準備業務
救急カート薬品管理
救急カート薬品管理
病棟備蓄薬品管理
病棟備蓄薬品管理

医師への処方支援

2010年4月、厚生労働省医政局⾧通知が発出され、現行法規上で実施可能な薬剤師の業務9つが例示されています。その中で、薬剤部では医師に対して積極的に処方を提案する点に着目し、医師への処方入力支援を開始しています。

病棟における内服薬配薬準備体制整備

2020年6月より病棟専任薬剤師を配置した薬剤業務を開始するにあたり、病床数が多く、1人あたりの薬の数が多い療養病棟の3階ならびに南4階で定期薬・配薬準備へ薬剤師が介入し、配薬準備時間短縮に向けた看護師・薬剤師連携のダブルチェック体制を構築しています。
2021年4月からは上記連携を全病棟に展開しています。また、安全管理精度を維持しつつ業務効率を高めるため、2階・3階・4階・南4病棟で患者毎に1週間分の薬がセットできる配薬カートを導入するとともに、薬剤部で定期薬一括1回量セットを行う運用を開始しました。

薬剤管理指導業務

患者さまが薬を正しく使えるように、医師や看護師などと連携をとりながら、薬の効果・使い方・注意点などの説明を行っています。また、患者さまからの薬に関するご相談やご質問にも応じています。

退院時薬剤管理サマリー

退院時には、患者さまの同意を得た上で薬剤管理サマリーとしてかかりつけ薬局や後方支援施設へ服薬情報を提供し、シームレスな服薬フォローアップを行っています。

医薬品情報室(DI室)

医薬品の最新情報、医療安全情報、副作用情報、プレアボイド報告などの医薬品関連情報を収集・評価・管理し、医療従事者や患者さまへ発信することで、医薬品適正使用の推進を図り、最新・安全・最良の医療を提供しています。

医薬品情報管理業務

医薬品の添付文書を始め、インタビューフォーム(医薬品の詳細情報)、医療情報雑誌、医学書籍等を活用し、医療従事者からの質問に対して正確・迅速に情報提供しています。また、毎月DIニュースを発行し、医薬品適正使用の推進に努めています。

プレアボイド報告業務

プレアボイド(薬剤師が薬物療法に直接関与し、患者さまの不利益を回避あるいは軽減した事例)報告を積極的に収集し、薬剤師の教育ツールとして活用しながら、薬剤管理指導業務へ役立てています。また、日本病院薬剤師会が推進しているプレアボイド報告制度へ参加することで、プレアボイド報告施設証が発行されています。

医薬品情報管理業務

2020年改定の後発医薬品調剤体制加算3(90%以上)を取得。
当院では、厚生労働省による後発医薬品・バイオ後続品の使用促進に向けた取り組みに合わせ、後発医薬品使用体制加算、バイオ後続品使用体制加算の届け出を行っています。後発医薬品・バイオ後続品の採用ならびに供給不足への対応に際しては、薬剤部門が中心となり品質、安全性、安定供給体制等の情報を収集・評価し、後発医薬品・バイオ後続品の使用・変更を決定する体制を整備しています。そのため、この体制の維持および医薬品の供給状況によって投与する薬剤を変更する可能性があり、その際には患者さまへ説明を行ってまいりますのでご協力宜しくお願いいたします。

<太田川病院の後発医薬品使用促進について>

後発医薬品選定基準

  • 効能効果、用法用量が先発品と同一であること
  • 信頼できるメーカーであること
  • 使用実績があること
  • 安定供給可能であること
  • 採用後に問題が発生し採用中止となっていないこと
  • その他、総合的に判断し問題ないと思われること

調剤業務

電子カルテシステムより、患者さまの医薬品使用履歴、疾患既往歴、臨床検査値などの参照が可能なため、特定の疾患に対し使用すべきでない薬剤のチェック、重複投与のチェック、飲み合わせの悪い薬剤のチェックなどが行えるようになっています。

内服・外用薬調剤

全自動錠剤分包機、散剤監査システム、全自動散薬分包機などを使用し、処方箋に従った正確な調剤を行っています。

注射薬調剤

入院患者さまの注射薬を患者さまごとに1回分ずつ取り揃えています。混ぜ合わせによる配合変化、適正使用量、投与期間及び投与方法のチェックを行いながら正確にセットしています。また、高カロリー輸液はクリーンベンチを使用し調製しています。

全自動錠剤分包機による錠剤1包化
全自動錠剤分包機による錠剤1包化
注射薬個人別セット
注射薬個人別セット
無菌調製
無菌調製

処方監査の強化

オーダーされた処方内容は、電子カルテ画面上で患者属性、処方内容に加え、過去処方歴、病名、持参薬、検査値、ハイリスク薬などもチェックされます。処方箋には、過去処方歴、簡易懸濁/自己管理区分、検査値、病名も記載されます。

持参薬情報入力
持参薬情報入力

調剤プロセスの強化

2023年12月よりヒューマンエラーに起因する計数調剤エラーを未然に防ぐ目的でピッキングサポートの業務支援モバイル(湯山製作所製・GXハンディー)を導入しました。

在庫管理業務

医療システムの著しい変化や医療の高度化に伴う高額医薬品の登場により、医薬品費を抑えることは病院経営にとって特に重要な課題となっています。そこで、薬剤部倉庫における医薬品の在庫適正化を目的とし、最小包装での購入ならびに担当者制により部門在庫の最小化に努めています。発注はVAN (Value-Added Network)によりオンライン化しています。

医薬品安全管理

医薬品に関する医療過誤防止の徹底を図り、優れた安全性・信頼性を維持した良質な薬物療法を提供するため、「業務プロセスの改善」、「医療従事者への教育・情報提供」の二本柱で改革・改善を行い、医療安全に貢献しています。

医療従事者への教育

医療従事者に対して医薬品に関する教育を実践し、レベルの高い医療を提供することのできる医療チームを作り上げることに協力しています。 看護師に対して、ハイリスク薬(インスリン、抗凝固薬等)等に関する研修会を開催。 また、医薬品安全啓発キャンペーンも開始しています。 1年を通して毎月、医薬品安全に関する重要なテーマをキャンペーンし、このパターンを毎年継続することで、一人ひとりが医薬品安全の大切さを考え、薬の知識を定着させることを目的に行っています。

医薬品安全使用のための研修会

2021年8月から医療の質を支える人材育成として、「医薬品安全使用のための研修会」を開始しました。

第1回(2021年08月)
医薬品安全研修の重要性~医療事故をとおして考える「人間行動の質」について~
第2回(2021年11月)
特に注意の必要な注射剤
第3回(2021年12月)
慢性便秘症について
第4回(2022年02月)
処方箋の見方について(インシデント事例から振り返るポイント)
第5回(2022年05月)
救急カートの薬を知ろう
第6回(2022年08月)
簡易懸濁薬について知ろう
第7回(2022年11月)
注射薬の配合変化について知ろう
第8回(2023年01月)
術前中止薬について知ろう
第9回(2023年05月)
インスリン薬を知ろう
第10回(2024年01月)
薬と看護ケア上のポイントについて
第11回(2024年05月)
心不全と薬について知ろう
第12回(2024年09月)
医薬品安全啓発キャンペーンのまとめ(5年経過して、確認テスト)

各部門ごとの薬品管理

各部門ごとの薬品管理・適正使用状況を担当者が管理シートを用いて確認しています。

ヒヤリ・ハット改善対策

病棟でヒヤリ・ハットが発生した時は、事例検討カンファレンスに薬剤師も参加し、下記事例検討シートを作成します。2か月後、対策の定着状況を評価し、決められたことが着実に行えるようになったかモニタリングを行います。

入院中不眠時対策と薬剤選択フローの作成

入院患者の転倒・転落防止と不眠時対応の標準化を目的に、精神科医師、看護師と共同で“入院中不眠時薬剤選択フロー”を作成し、全病棟で使用しています。

治験のご案内

人に対する医薬品の投与試験を一般に「臨床試験」といいますが、「くすりの候補」を用いて国の承認を得るための成績を集める臨床試験は、特に「治験」と呼ばれています。薬剤部は治験の運用を中心的な立場でサポートしています。

一般の方

当院では、患者様やご家族が安心して治験にご参加いただけるよう、活動・サポートさせていただきます。

治験依頼者の方

治験依頼をお考えの企業の方を対象に、申請にあたって必要となる情報を掲載しています。

チーム医療

多種多様な医療職員が目的と情報を共有し、業務を分担するとともに互いに連携・補完し合うことによって、患者さまの状況に的確に対応した治療を行うこと、医療の質の向上及び医療安全を確保することに努めています。
(院内感染対策チーム、栄養サポートチーム、緩和ケアチーム、褥瘡対策チーム、認知症ケアチームなどへ薬剤師が参画)

抗菌薬適正使用支援

初期治療の抗菌薬を適正に選択するために「細菌ごとに抗菌薬がどの程度効くか(感受性か)、効かないか(耐性か)の割合を一覧表」にした抗菌薬感受性率表(アンチバイオグラム)を作成し、抗菌薬選択の標準化を推進しています。

訪問薬剤管理指導

2021年10月より、在宅における高齢者の服薬支援を推進する目的で、医師の指示のもと、ご本人やご家族の同意をいただいて、薬の管理や服薬指導のサービスを提供する訪問業務を開始いたしました。

薬薬連携

当院は、広島県版トレーシングレポート(服薬情報提供書)の受け入れ病院です。FAX 番号082-220-2812(代表)。 トレーシングレポートは、保険薬局で「緊急を要さない(即時性の低い)情報であるが、処方医師へ情報提供した方が望ましい」と判断された情報を、処方箋発行元の薬剤部で集約し、処方医師へその情報をフィードバックし、円滑な患者情報の共有化を目指します。

トレーシングレポートについて

広島県病院薬剤師会のHPまたは広島県薬剤師会のHPにて『トレーシングレポート運用方法』・『トレーシングレポートQ & A』をご確認下さい。また『トレーシングレポート(服薬情報提供書)』がダウンロード出来ます。
尚、トレーシングレポートによる情報提供は、院外処方せんにおける疑義照会等の「問合せ」ではありません。
処方せん内容に関する疑義照会は、従来通り当院へお問い合わせ下さい。

広島県病院薬剤師会ホームページ 

入院前薬剤関連情報の提供について

広島県病院薬剤師会のHP(上記)または広島県薬剤師会のHPにて『入院前薬剤関連情報提供書運用方法』・『入院前薬剤関連情報提供書 Q&A』を必読し十分に確認してください。
また『様式1(依頼書)』『様式2(入院前薬剤関連情報提供書)』もダウンロード出来ます。

専門・認定薬剤師

専門薬剤師

専門薬剤師・認定薬剤師の育成に力を注いでいます。

認定資格

日本医療薬学会
指導薬剤師
1名
日本医療薬学会
専門薬剤師
2名
腎臓病薬物療法認定薬剤師
専門薬剤師
1名
日本医薬品安全性学会
専門薬剤師
1名
日本病院薬剤師会
日病薬病院薬学認定薬剤師
7名
日本静脈経腸栄養学会
栄養サポートチーム専門療法士
1名
日本糖尿病療養指導士認定機構
日本糖尿病療養指導士
2名
広島県糖尿病療養指導士認定機構
広島県糖尿病療養指導士
1名
日本高血圧学会等4学会
認定高血圧・循環器病予防療養指導士
1名
日本アンチドーピング機構
スポーツファーマシスト
1名
日本薬剤師研修センター
実務実習指導薬剤師
3名
博士(薬学)
2名

認定研修施設

日本医療薬学会より以下の施設認定を受けています。

  • 医療薬学専門薬剤師研修施設
  • 地域薬学ケア専門薬剤師研修施設(基幹施設)

当院は2020年、日本医療薬学会の地域薬学ケア専門薬剤師研修施設に認定されています。 『地域薬学ケア専門薬剤師』を目指される薬剤師の方は当院での研修も可能となります。 当院では薬剤師の貢献について、エビデンスとなる学会発表や論文投稿ができるような研修・サポートをさせていただきます。 制度の詳細は日本医療薬学会のホームページをご確認ください。

日本医療薬学会ホームページ

研修施設認定証
研修施設認定証

新人薬剤師奮闘中!!

学会・論文発表業績

学会発表、論文投稿にも力を注いでいます。

日本病院薬剤師会雑誌 Vo60,No8(2024)888-891

2024年論文投稿

  • プロトコルに基づく薬物治療管理を用いた股関節骨折手術のクリニカルパスにおけるエドキサバン適正使用の取り組み

医療薬学フォーラム2024/第32回クリニカルファーマシーシンポジウム

2024年学会発表(熊本市開催)

  • 療養病棟における配薬関連ヒヤリ・ハット再発防止に向けた薬剤師による有効対策の計画的リマインド説明活動の有用性について

広島県病院薬剤師会病院 機能別業務検討委員会研修会

2023年研修会 (広島市開催)

  • その薬剤管理サマリー活用できていますか?

第24回フォーラム「医療の改善活動」全国大会 in 広島

2023年学会発表 (広島市開催)

  • 待ってられない!入院患者来院から持参薬鑑別終了までのリードタイム短縮を目指して
  • おまかせ下さい!一般急性期病棟での配薬準備時間短縮を目指して

日本病院薬剤師会雑誌 Vol59,No1(2023)51-54

2023年論文投稿

  • ベタメタゾン・d-クロルフェニラミンマレイン酸塩配合錠の長期服用によって慢性副腎不全を発症しステロイドからの離脱に難渋した1例

第61回日本薬学会・日本薬剤師会・日本病院薬剤師会中国四国支部学術大会

2022年学会発表(広島市開催)

  • 高齢者への不眠時薬剤選択フロー導入による睡眠薬・抗不安薬の処方動向に関する調査
  • 太田川病院における退院時薬剤管理サマリーの保険薬局アンケートによる評価
  • 広島市東区在宅支援多職種連携ネットワークを利用した居宅療養管理指導への取り組み
  • 療養病棟における配薬準備プロセス改善に向けた薬剤師の介入
  • 療養病棟における薬剤ヒヤリ・ハット対策の注意喚起時期予測に向けた事例分類ごとの再発時間調査
  • 高齢入院患者のポリファーマシーに対する係わりと減薬された患者を対象とした退院後の処方薬実態調査
  • 新型コロナウイルス感染症による高齢者施設クラスター発生時のソトロビマブ注投与における投与から終了後1時間以内の有害事象調査

第5回医療現場におけるKAIZEN研修会

2021年研修会(広島市開催)

  • 療養病棟における配薬準備時間短縮への取り組み

第31回日本医療薬学会年会

2021年研修会(熊本市開催)

  • 慢性腎臓病を有する高齢者のポリファーマシー実態調査と潜在的に不適切な薬剤と病期に関する検討

第30回日本医療薬学会年会

2021年研修会(名古屋市開催)

  • エボカルセト投与において血清Ca値及びPTH-intactの低下による投与量の減量・中止に影響を及ぼす因子の検討

Biological & Pharmaceutical Bulletin Vol.42,No10(2019)1674-1678

2019年論文投稿

  • Risk Factors for Poor Pain Control after Opioid Switching from Oxycodone Tablet to Fentanyl Patch

薬学実務実習

薬学生から選ばれる実習施設であることを目指し、職員一丸となって薬学生の指導に当たっています。

実習日程

1週目は主にオリエンテーションを行い、病院実務実習の概要や、自己評価の方法について説明を行います。2週目からは、実際に服薬指導を中心とした、病棟での実習を開始します。様々な病態、治療に触れることができるよう、定期的に病棟をローテーションしながら実習を進めていきます。また、病院の特徴である栄養サポート、緩和ケアといったチーム医療にも関わる機会を設けています。